自動車の排気ガスや温室効果ガスの中には次のようなものがあリ、
その中でも大気汚染物質は環境や私たちの健康への影響が懸念されます。
黒煙
(C:炭素)
Carbonの略。燃料の不完全燃焼が原因。
黒煙(煤塵)は、発がん性を持つベンツビレン等のディーゼル排気ガス中の微粒子(DEP)となり、植物が息をする気孔を塞ぐため光合成をできなくなるなど、枯死の原因となる。また、花粉アレルギー反応を促進する作用原因にもなっている。
窒素酸化物
(NOx)
Nitrogen Oxideの略。一酸化窒素・二酸化窒素などの総称。燃焼温度が高くなったときに、空気中の窒素が反応して発生。燃焼温度1000℃以下ではわずかしか生成されず、1300℃以上の高温になると急激に増加。
NOxは、硫黄酸化物(SOx)などとともに酸性雨や光化学スモッグの原因となる。
硫黄化合物
(SOx)
Sulfur Oxideの略。燃料に含まれる硫黄分が、酸素と反応して発生。
SOxは、燃料中の硫黄分(S)が燃焼することによって、空気中の酸素(O)と結合し発生する。硫酸を大気中にばら撒くのと同じで、酸性雨の原因となる。
一酸化炭素
(CO)
Carbon Monoxideの略。燃料の不完全燃焼が原因。
自動車が主な発生源で、酸素不足の発生を招く。わずかでも一酸化炭素中毒を起こす危険性を持つ。
炭化水素
(HC)
Hydro Carbonsの略。燃料の不完全燃焼が原因。未燃焼ガソリン。
気温が上がると、光化学反応により光化学スモッグの原因となる。植物が息をする気孔を塞ぐため光合成をできなくなるなど、枯死の原因となる。
浮遊粒子状物質
(SPM)
Suspended Particulate Matterの略。工場や自動車から排出される粒径が10μm(マイクロメーター、100分の1mm)以下の粒子。物質の燃焼に伴って発生。
ディーゼル車の排ガスや工場のばい煙に含まれ、呼吸器疾患や肺がんの原因になる。
PM2.5
(ピーエム2.5)
Particulate Matter 2.5の略。浮遊粒子状物質(SPM)のうち、直径が2.5μm以下の超微粒子。
小さい粒子のため気管を通過しやすく、肺胞など気道より奥に付着し人体への影響が大きいと考えられ、ぜんそくや気管支炎を引き起こし、花粉症との関連や発がん性についても指摘されている。
ディーゼル排気微粒子
(DEP)
Diesel Exhaust Particlesの略。浮遊粒子状物質のうち、黒煙をはじめとするディーゼル車から排出される微粒子。
粒径が2マイクロメーターと浮遊粒子状物質のなかでも目が細かく、肺にたまりやすい。「花粉症の原因」となったり「発ガン性」を持つ。
※国立環境研究所は、ディーゼル排ガスを吸うと、アレルギー反応が増し、気管支ぜんそくの中心的症状である強い気道狭さくが誘発されるとの実験結果。
(時系列で掲載しています。また、記事が古くなっていますが概要把握には役立つかと思われます)
2003/02
◆車の三元触媒が水源の汚染に、群馬工業高等専門学校の青井透教授らが警告
「首都圏で排出されるアンモニア態窒素が、夏の南風で利根川上流などに運ばれている」と、水源の汚染を警鐘。実験では2000ccの昭和53年度排ガス規制適合のワゴン車で時速80kmの走行で1リットル当たり8.91ミリグラムを検出。三元触媒は、車の排ガスから出る一酸化炭素(CO)・炭化水素(HC)・窒素酸化物(NOx)の3種類の有害成分を同時に除く触媒のため、名前に「三元」がつく。白金とロジウムの合金が使われ、酸化と還元の作用で、3成分を二酸化炭素・水・窒素に変える。
◆ディーゼル車排出ガス中の粉塵、男性ホルモンの作用を抑制する恐れ
金沢大学薬学部衛生化学グループの研究で明らかに。ディーゼル車の排気には、発がん性が指摘されるベンゾピレンなど数千種類の化学物質が含まれているとされ、グループは作用する成分の特定にも着手。
子宮内膜症や前立腺がんなどが増えていることや、雄の雌性化など性分化といった異常に関係が深いといわれる環境ホルモン(内分泌かく乱物質)の実態に迫る研究成果。ヒトの前立腺がん細胞を、24時間にわたりディーゼル車の排気から抽出した物質にさらし、通常の細胞と男性ホルモンの作用程度を比較。作用の程度を示す指標として、これら細胞にホタルが発光する遺伝子を組み込み、その発光量で男性ホルモンの作用の程度を調査。1サンプルで同じ実験を6回行い、平均値を出した。この結果、抽出物にさらした細胞では、男性ホルモンの割合は通常の細胞に比べて80~40%。割合がもっとも低かったのは、旧式の大型ディーゼル車から捕集した排気粉じんの抽出物。
※環境ホルモン:人工的に作られた化学物質で、ホルモンと似た作用があり、微量でも生物機能に影響を与える。男性の精子生産の低下との関連も指摘。雌または雄の生殖器官の発達不十分、雌の雄性化、雄の雌性化などの性分化異常に関連があるとされる。イボニシやバイ貝などの巻き貝は雌の雌雄両性化、ワニの雄の生殖器が発達不十分になることが知られている。
2003/01
◆ディーゼル車排気ガスの超微小粒子、「高硫黄軽油」より「低硫黄軽油」が危険
環境庁(現・環境省)は、90年度と97年度に委託研究先である(財)結核予防会・結核研究所の実験で判明するも公表せず。微粒子をラットに注入し2年半後のがん発生率を調査、超微小粒子を多く与えたラットに高い率で肺がんが発症。肺組織やリンパ節には、3~6割多い粒子が侵入・沈着。実験に使ったのは、含まれる硫黄の量が違う「高硫黄軽油」(硫黄分0.4%)と「低硫黄軽油」(0.04%)、低硫黄軽油から出た排ガス粒子の中には超微小粒子が、高硫黄軽油に比べ重量で1~2割多く含まれていた。排気ガス中の微粒子については90年代からの規制により比較的大きい粒子は大幅に減ったが、未対策である超微小粒子の健康への悪影響の可能性が示された。 超微小粒子:粒子の直径が100ナノメートル(ナノは10億分の1)以下の粒子。50ナノメートル以下のものは「ナノ粒子」と呼ばれる。肺の細胞をすり抜けて血液やリンパ系に入り込む。ディーゼル車だけでなくガソリン車からも排出され、危険視されつつある。
2002/12
◆栃木・「日光の杉並木」、車の排気ガスなどの影響で年100本ペースで枯れる
健康な木は2%程度。自動車の排ガスや振動、舗装で十分に根が張れないことが原因とみられる。
◆光化学大気汚染が原因とみられる症状で被害届、今年4-10月は1347人に
過去10年間で2番目に多く、被害届のほとんどが今年7月4日(1154人)に集中。環境省は「気温上昇に加え、数日前から大気が安定して汚染物質が拡散しにくい状況があったため」と説明。
2002/11
◆光化学スモッグ、今年の被害者は410人と過去10年で最高。東京都調査
光化学スモッグが原因とみられる症状で目やのどに痛みを訴える。7月上旬に梅雨の晴れ間が広がり気温の高い日が多かったことや、7月末から8月上旬にかけて安定した太平洋高気圧に覆われ、猛暑の日が多かったため、と分析。都は1972年以降、自動車や工場などから排出される窒素酸化物と炭化水素が太陽の強い紫外線で反応し発生する光化学オキシダントの濃度が基準を超えると、都内の8地域ごとに注意報を出してきた。
2002/10
◆「東京大気汚染訴訟」、道路管理者に賠償命令、自動車メーカーの責任認めず
昼間の交通量が4万台を超え幹線道路から50m以内に居住・勤務していた7人について「継続的に発生する多量の排気ガスで、生命に危険を及ぼす気管支ぜんそくを発症・悪化させており、侵害の程度は極めて深刻だ」と損害を認め、国と首都高速道路公団、都に総額7920万円の賠償を命じた。国などの賠償責任については「各道路の高い公共性は明らかだが、経済活動などのために患者ら一部少数者に特別の犠牲を強いるものだ」と指摘。「道路供用以来、健康被害を防止するための適切な方策を講じた事実はない」と認めた。メーカーについては、「車のユーザーが排ガスを出す主体であり、その移動をメーカーはコントロールできない」と指摘。一方で、排気ガスが健康被害をもたらすことをメーカーは予見できたとしたうえで、「ディーゼル車の大気汚染への寄与度は2割にとどまり、ディーゼルエンジンの製造を自粛するほどの義務はない」と判断して原告側の主張を退けた。 原告は、気管支ぜんそくなどで苦しむ東京23区内の住民ら。
2002/09
◆ディーゼル排気ガスの発ガン性を認定、米環境保護局(EPA)が報告書を発表
EPAは、大型トラック、バスについてディーゼル排気ガスの増加抑制策を進めており、今後は建設機械や農機具でも規制を進めたい方針。DEPは、ディーゼルエンジンでの不完全燃焼によって生成される粒子状の物質で、すすのような炭素粒子の周囲にさまざまな化学物質が付着している。都市部では浮遊粒子状物質の大部分がDEPとされ、肺がんやぜんそくなど呼吸器病の原因となる。
◆国立環境研究所、排気ガス中の粒子状物質でマウスの子宮が異常収縮
ディーゼル車の排気ガス中の粒子状物質が、マウスの子宮に流産などの原因となる異常な収縮を起こす報告。粒子状物質が出産にかかわるホルモンの働きを乱した可能性。
2002/08
◆日弁連、排気ガス被害救済で立法措置を求める意見書を環境などに提出
自動車排気ガスによる大気汚染で気管支ぜんそくなどになった被害者を救済するための新たな立法措置を求める意見書を、環境・国土交通省・日本自動車工業会に提出。意見書では、「ディーゼル車をはじめとする自動車の排ガスによって、大都市圏では呼吸器疾患の患者数が増加し、深刻な被害。しかし、大気汚染による健康被害に対する国の救済制度としては、工場からの排煙を対象とした公害健康被害補償法しかない。 このため、自動車排ガスの高濃度汚染地域を指定。道路設置者や管理者、自動車メーカー、燃料メーカーの費用負担で、被害者に医療費や障害補償費などを支給する制度を早急に立法化すべき」。
◆環境省、排ガス中の「微小粒子」実態解明へ委員会を5日発足へ
国・自動車業界・学会が合同で構成し、ディーゼル車の排気ガスに含まれる有害粒子状物質の中でも実態がわかっていない非常に小さい粒子について、計測方法など基礎的研究を推進。海外の研究などで、人体の血管に入り込んで健康に影響を与えることなどが発表され、ガソリン車の排気ガスにも含まれている可能性。微小粒子については、現在の排ガス規制の対象になっていない。
◆世界自然保護基金(WWF)、温暖化でアフリカの人々や動物の生命が脅かされると警告
「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(環境・開発サミット)で、アフリカの気候変動に関する報告書。各国政府に対して、温暖化の原因とされる二酸化炭素の排出を抑制し、太陽電池のように再生可能で無公害な燃料の導入への切替えを要請。温室効果ガスの削減と持続可能な土地利用が奨励や各国に対して2010年までに再生可能エネルギー利用のシェアを10%に上げることなども要請。
2002/07
◆環境省、自動車排気ガスに含まれる超微小粒子「ナノ粒子」、健康被害を調査へ
5年間で50億円の予算要求へ。ナノ粒子は、小さくて鼻毛はもちろん肺の細胞まですり抜けて血管に入り込み、アレルギー反応など健康に悪影響を与える恐れが指摘されている。ナノ粒子は、排ガスに含まれる主に炭素からなる浮遊粒子状物質(SPM)の中で、とくに小さい直径50ナノメートル(ナノは10億分の1)以下のものをさす。SPMはぜんそくなどの原因物質として大気中の量に関する環境基準が設けられており、自動車の排ガス規制の強化で総重量は減っているが、かわりにナノ粒子は増えたと考えられている。重量あたりの表面積が大きいため、吸い込んだ人の健康への影響が強いとする海外の研究も。
2002/05
◆富山市ファミリーパークの猿、ストレスで闘争多発。排気ガス公害で肺が真っ黒
ニホンザルを飼育しているサル山を県道から離れた場所へ移転。
2002/04
◆アイドリングでマンション住民がCO中毒、車を所有する会社に3700万賠償命令
マンション1階の駐車場にエンジンかけたまま約5時間放置、3階の夫婦が一酸化炭素中毒。その後、妻は動作が緩慢になるパーキンソン症候群と診断されて味覚障害などが残り、夫はのどの慢性炎症などを発症後遺症。
2001/12
◆カリフォルニア大、「大気汚染が子供の心臓病に影響する」と発表
大気汚染がひどい地域で生まれた子供は、心臓病を持って生まれる確率が通常より高いことが、カリフォルニア大ロサンゼルス校のグループの研究で明らかになった。汚染の指標であるオゾンと一酸化炭素の濃度が高いほど、赤ちゃんには心臓弁などに障害を持つ確率が高かった。障害が出る割合を空気がきれいな地区と比べると、もっとも汚染がひどい地区では3倍に達した。
2001/10
◆中国の黄砂がNOxなどを日本に運ぶ、土壌劣化の可能性
国立環境研究所の西川雅高・化学環境研究領域主任研究員らは、中国内陸部の砂漠地帯から風に吹かれて日本に飛んでくる「黄砂」が窒素酸化物(NOx)などの酸性ガスを吸着、硝酸として表面に固着して日本の土壌に運んでいることを突き止めた。日本に飛来する年間の黄砂量を200万tで推計すると、毎年、普通乗用車70万台分の排気ガスに含まれるNOxが黄砂と一緒に日本に落下している。黄砂自体は炭酸カルシウムを含むためアルカリ性で、酸性雨を中和する作用があるとされているが、黄砂が重金属や炭化水素を運んでいる可能性もあり、環境省は来年度から3年間、採取した黄砂の成分や環境影響調査に乗り出す。
◆大気中のPM濃度が高い日は東京23区でも死亡率が上昇、国立環境研
ディーゼル車の排気ガスなどに含まれる浮遊粒子状物質(SPM)の大気中の濃度が高い日は周辺住民の死亡率が上昇するという調査結果を、国立環境研究所の小野雅司・国際保健研究室長らのグループがまとめた。同様の研究結果は1990年代後半から米国などで報告されており、日本でも報道されているが、日本での研究結果ははじめて。6日からの大気環境学会で発表へ。調査は東京都23区を対象に実施。1990-94年の5年間の事故死を除く65歳未満の毎日の死亡数とSPM濃度との関係を分析した結果、SPM濃度が1立方m当たり100マイクログラム上昇すると死亡率が約6%増加するという関係が得られた。
◆昨年度の大気汚染、都市部なお改善進まず
環境省の2000年度の調査で、自動車や工場から排出される二酸化窒素(NO2)や浮遊粒子状物質(SPM)などによる大気汚染がもほぼ横ばいで推移したことが、分かった。環境基準を達成できない地点が依然残っている。自動車排ガス測定地点で見ると、呼吸器疾患や肺がんの原因になるSPMの環境基準(1立方メートル当たり0.1ミリ・グラム以下)達成率は、全国で66.1%(一昨年は76.2%)、首都圏で45.7%(同53.5%)、大阪・兵庫圏で67.4%(同87.8%)で前年を下回った。環境省は、99年度調査の達成率が高いのは風の影響でSPMが飛散したためで、達成率はゆるやかな改善傾向が続いているという。
◆高速道に隣接する中学校の排気ガス問題、JHの対策工事完了
名神高速の吹田SAに約20mと隣接する「佐井寺中学校」の生徒に、排気ガスの影響とみられる頭痛や吐き気、アトピーの悪化などの症状が続いている問題で、日本道路公団吹田管理事務所は17日、中学校側の遮音壁を従来の高さ5mから8mに高くするなどの対策工事が完了したと発表した。SA内の大型車用駐車レーンの大半を校舎側から遠ざけ、約350平方mのケナフ植樹帯を設けた。
2001/06
◆環境省、ディーゼル排気ガスの浮遊粒子状物質が増えると死亡率上昇
環境省の微小粒子状物質曝露(ばくろ)影響調査検討会で11日、ディーゼル車の排気ガスや工場のばい煙に含まれる浮遊粒子状物質(SPM)が増えると、死亡率も上がるとの調査結果が報告された。国立環境研究所が、東京の19区を対象に1990~94年の毎日の死亡数とSPMの濃度を指標とした結果、SPMが1立方メートル当たり100マイクログラム増えると、循環器疾患などによる死亡率が5~15%上がることがわかった。
2001/04
◆発がん性物質の再評価、ディーゼル排気ガスは魚の焼けコゲよりも危険!!
突然変異物質や発がん性物質を見つけるサルモネラ菌テスト(エームズ法)で、実験用ラットの細胞のかわりにヒトの細胞を使うと、結果が大きく異なることが、化学・製薬企業など25社とHAB協議会が参加した研究グループが発表する。ヒトを基準とすると、魚の焼けこげ物質の変異の起こしやすさは数十倍も過大評価されており、ディーゼル排ガス中のニトロピレンは3.4倍も過小評価されていたことになる。
◆国立環境研究所、ディーゼル排気ガスで花粉症などが悪化すると実証
環境省所管の独立行政法人、国立環境研究所の小林隆弘上席研究官らの研究グループは、モルモットによる動物実験で、ディーゼル排ガスによって花粉症などのアレルギー性疾患が悪化することを実証した。実験では、アレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎について症状の悪化が確認された。花粉症は国民の5人に1人が疾患しているともいわれており。今後も因果関係を分析していく方針。
◆環境省の意識調査、78%が「自動車の排気ガス」に不安
環境省が委嘱している環境モニターへの意識調査で、身近に存在する化学物質に対して不安感を持っている人は、「工場や廃棄物焼却施設などから排出されている化学物質」がトップで83.1%、次いで「自動車排ガスに含まれている化学物質」が78%、「農薬に使用されている化学物質」や「家庭用品に含まれている化学物質」も70%超えた。「不安は感じていない」も0.9%存在した。一方、4月1日にスタートした、化学物質の環境排出について、排出施設や排出量などの情報公開を定めた国の環境汚染物質排出・移動登録制度(PRTR制度)の内容を「理解している」人は8%に過ぎなかった。 昨年11月に質問書を全国1500人に郵送し、1260人(74%)が回答。
2001/01
◆東京都立衛生研究所、妊婦が排気ガスを吸うと子どもがアレルギー体質に
東京都立衛生研究所の動物実験で、妊娠中のラットに大量のディーゼル排気ガスを吸わせると、子どもがアレルギー体質になりやすいことがわかった。排気ガスとアトピー性皮膚炎やぜんそくなどアレルギー性疾患との因果関係を示唆する。
2000/09
◆国立環境研究所、ディーゼル排気ガスによる気管支ぜんそくの誘発を確認
国立環境研究所は、ディーゼル排気ガスを吸うと、アレルギー反応が増し、気管支ぜんそくの中心的症状である強い気道狭さくが誘発されるとの実験結果を28日までにまとめた。実験はマウスを使い、気道抵抗値を測定した。
◆ディーゼル車の排気ガスで母乳から発がん性物質
長崎大薬学部の黒田直敬教授らの分析で、ディーゼル車の排気ガスなどに含まれる発がん性物質のベンツピレンが、母乳1kg当たり平均で2.6ナノグラム(ナノは10億分の1)が検出された。日本分析化学会で27日に発表される。許容摂取量に匹敵するが「乳児には悪影響を与える可能性がある」という。
◆環境庁、「ディーゼル車の排気ガスは発がん性がある」と初の公式見解
環境庁の検討会は8日、「ディーゼル車の排気ガスに含まれる微粒子には発がん性がある」とする中間取りまとめを発表した。国としてはじめて公式に発がん性を認めたものだが、ぜんそく、花粉症などのアレルギー症状や、内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)作用については判断を先送りした。
二酸化炭素
(CO2)
Carbon dioxideの略。自動車分野では、ガソリンなど炭化水素系燃料を燃焼させることで発生する。他の温室効果ガスとしては、メタン(CH4)・フロン(HFC)・亜酸化窒素(N2O)などがある。
日本の二酸化炭素排出量の約20%を運輸部門が占め、地球温暖化の原因となる。海面上昇や食糧問題につながる。
亜酸化窒素
(N2O)
一酸化二窒素とも呼ばれる。窒素酸化物の一種で、自然界に存在するほか、化石燃料の燃焼や肥料の使用、硝酸など化学物質の製造過程で発生する。「笑気ガス」として歯科治療などにも使われる。
大気中のN2Oが成層圏で光によって分解される際に酸化窒素(NO)ができ、それがオゾンを分解する。(毎日新聞)
(時系列で掲載しています。また、記事が古くなっていますが概要把握には役立つかと思われます)
2009/08
オゾン層破壊の主犯「規制強化を」米研究チーム(毎日新聞)
肥料の使用や化学物質の製造過程で出る「亜酸化窒素(N2O)」が、現時点でオゾン層をもっとも破壊する物質であることを、米海洋大気局の研究チームが突き止め、米科学誌「サイエンス」で発表した。N2Oは温室効果ガスとして先進国に排出規制が課せられているが、オゾン層保護の規制対象ではない。研究チームは「排出制限はオゾン層保護と温暖化抑制の両方に有益」と、厳しい規制を求めている。
オゾン層は、生物に有害な太陽の紫外線から地球を守っている。かつてフロンやハロンがオゾン層を破壊することが分かり、「モントリオール議定書」(87年採択)で規制が進んだ。一方、N2Oは規制対象外だ。
研究チームは、フロンや四塩化炭素など9物質について、排出量を基にオゾン層への影響を比較した。その結果、87年はフロンの一種「CFC-12」がもっとも高かったが、08年にはN2Oが最大となり、影響は2位の物質の2倍以上だった。チームは、人間活動に伴うN2O排出は今後も増え、21世紀最大のオゾン層破壊物質になると予測した。
N2Oは二酸化炭素の310倍の温室効果があり、地球温暖化防止のための「京都議定書」で先進国に削減を義務付けた6つの温室効果ガスの1つ。環境省によると、日本の排出量(実重量)は90年度の10万3000トンから、07年度は7万7000トンまで減った。同省は「フロンのように工業製品として製造するものに比べて排出源が多様なので、途上国も含めた規制は難しいのではないか」と話す。
2003/02
◆二酸化炭素(CO2)吸収量、北海道の森林が日本全国の4分の1を占める。森林総研
日本の森林のCO2吸収量は年4100万t(炭素換算)、うち北海道分は964万t。道内の森林のうち、値が高いのは阿寒湖周辺などで、「土壌の質が良く、森林の生育が早い」(同支所の田内裕之研究長)地域。
2002/10
◆米公衆衛生研究者、地球温暖化で伝染病が増大?
「マラリア、黄熱、デング熱、セントルイス脳炎、西ナイル熱などの病気に共通するのは、動物が媒介すること」。「蚊は湿った場所と比較的温暖な気候がなければ繁殖できない。地球温暖化が進めば、蚊の繁殖できる地域が拡大し、それがさらに、この種のウイルスを急速に蔓延させることになる」。
2002/09
◆10月1日から「フロン回収法」が全面施行、乗用車は廃棄時に2580円負担
施行後、利用者がカーエアコン付きの自動車を廃棄処分する際に、自動車フロン券を購入。オゾン層を破壊するフロン類が大気に排出されるのを抑制するため、2001年に「特定製品に係るフロン類の回収および破壊の実施の確保等に関する法律(フロン回収破壊法)」制定。10月から全面施行。
2002/04
◆黄砂、3年連続の「当たり年」、地球温暖化も関係?
地球温暖化・森林伐採・農業や工業取水による大河の水量の減少などを背景に、発生源の中国内陸部の乾燥化が進み、年々舞い上がりやすい条件が整ってきたとみられる。黄砂は、3~5月にかけて多くみられる現象で、気象庁職員が全国123地点で目視によって確認。発生源は、ゴビ砂漠や黄土高原の中国内陸部周辺とタクラマカン砂漠など中央アジア。運搬役する風は、シベリアから北京や日本方面に吹き込む強風と米国までも運ぶ偏西風。
2002/01
◆経済産業省、H12年度のエネルギー消費量が2年連続で記録更新と発表
原油換算で約4億500万kリットル、前年度を0.8%上回る。エネルギー部門で発生する二酸化炭素(CO2)の排出量は、同1.1%増の11.59億トンと試算され、96年度以来4年ぶりに記録更新。地球温暖化防止のための政府削減目標より10.2%も上回り、達成は困難。
2001/08
◆環境省、「ヒートアイランド現象」対策の一環で低公害車普及を
環境省が9日まとめたヒートアイランド現象の実態分析報告書で、大都市では気温が30度以上になった時間が過去20年間で倍増している。このまま都市化が進めば東京都心部で平均気温がさらに約1度上昇する可能性があるとともに、ヒートアイランド現象は地方都市にも広がっており、「全国で効果的な対策を進めることが必要」と警告した。冷房機の多用による排熱などが、土の地面や樹木が少ない都市部にこもって気温を押し上げ、東京23区内ではヒートアイランドによる気温上昇で毎年約30万tのCO2を追加排出していることになり、地球温暖化を助長するという。環境省の試算では、都心で車の交通量が現在より30%増え、冷房など建物からの排熱も50%増え、建物の容積率が2割増えた場合、気温が約1度上がり30度を超す範囲は1.34倍に拡大。一方、屋上面積の50%を緑化したり、建物排熱を50%減らし低公害車の普及や交通渋滞の改善などで車からの排熱が20%減ると0.7度下がり、高温の地域は現在の8割以下に狭まるという。
2001/07
◆日本国内での「温暖化ガス排出量」前年度比2.1%増、3年ぶりの増加に
地球環境保全に関する関係閣僚会議および地球温暖化対策推進本部の会合が10日開かれ、国内の1999年度の温室効果ガス排出量が、CO2換算で前年度比2.1%増の13億700万tと3年ぶりに増加に転じ、1990年比では6.8%増と報告された。なお、京都議定書での日本の目標値は、2008~2012年に1990年比で6%削減。
2001/04
◆環境省、「日本では温暖化が始まっている」地球温暖化の影響で報告書
環境省は26日、桜の開花日が50年間で5日早まっていることや、昆虫の生息地域が北上しているなどのデータから「日本では温暖化が始まっている」とした「地球温暖化の日本への影響2001」との報告書をまとめた。94年に続く第3回。
2001/02
◆地球温暖化、ディーゼルエンジンも主な原因に、ネイチャー誌2月8日号
スタンフォード大学のジェイコブソン準教授が、「地球温暖化の原因要素で、二酸化炭素に次ぐ2番目は、焼却炉やディーゼルエンジンなどから排出される『煤』である」との研究論文を発表。ネイチャー誌2月8日号に掲載された。「温室効果ガスであるメタンガスより、煤の方が影響が大きい可能性もある」。
【宮野滋氏、ギネス記録略歴】
1995年:ディーゼルエンジンバイク、エンフィールド・ロビンで71.18km/L
2001年:ガソリンエンジン自動車、ホンダ・インサイトで36.33km/L
2001年:ガソリンバイクホンダCG125で74.44km/L
2001年:VWルポ3L TDIにて42.29km/Lのディーゼルエンジン自動車新記録達成
4つのすべてのカテゴリーを制覇し、6枚目の認定証を申請。現在(2009年)もさまざま燃費記録に挑戦されています。
チームオーガナイザー 宮野滋
~省略~(全文は、「燃費ギネス記録、特別寄稿」をご覧ください)
ディーゼルエンジンとガソリンエンジンでは、燃料が違います。
軽油1リットルを燃やすと空気中の酸素と結合して約3kgの二酸化炭素が発生しますが、ガソリン1リットルでは2.3kgしか発生しません。
ルポは6117kmを走って、144.64リットルのエッソの軽油を消費し、燃費はイギリス1周ギネス低燃費記録142.29km/リットルでしたが、434kgの二酸化炭素を出しています。
ガソリンエンジンのインサイトは、36.33km/リットルの燃費で、165.49リットルのガソリンを消費しましたが、出した二酸化炭素の量は381kg。
ディーゼルエンジンのルポより、ガソリン・ハイブリッドエンジンのインサイトの方が排気ガスはもっときれいです。
「ガソリンエンジンよりディーゼルエンジンの方が燃費が良くて、二酸化炭素の排出量が少ない」という常識のようなものは当てはまらなかったのです。これが、燃費やエコロジーを研究しながらギネスブックに挑戦し続けていく私達の得た貴重な結論です。